裕福って・・

コンゴ人はファッションセンスの良さで知られています。この事実をキンシャサに向けて出発する直前に知った時、私たちは飛び上がる程うれしかったです。普段からおしゃれをするのが大好きな私たち、『キンシャサでは、ウォータープルーフ、かつ風通しが良く、底にギザギザのたくさんついたハイキングシューズを履くことをおすすめします』なんて情報を最初に耳にしたときには、かなりパニック!それからというもの、「本当にはハイキングシューズで毎日歩かなきゃいけないの?(涙)」「無理してでもヒールにする??」なんてすごくガーリーな会話を何度も繰り広げたのでした。

だから、出発もせまったある日、コンゴ人ファッションデザイナーのお友達、Modahnikのカヒンド・マテネちゃんが、大笑いしながら「全然そんなことないわよー!私たちコンゴ人はおしゃれで有名なのよ!ハイキングシューズなんて履くことないわよ!」と言ってくれたときの私たちの喜び様は、言葉では言い表せないほどでした!(^^)

 

キンシャサの街を車で走っていると、老若男女問わず、それはそれはおしゃれな人たちをたくさん見かけました。すごくモードっぽい今風のファッションの人たち、色鮮やかなアフリカンファッションの人たち、それからクレージーファッションの人たち!(中でも一人すごかったのは、ヒョウ柄のシャツにファーのベストとホットピンクのパンツ、それに大きな帽子とサングラスの男性!笑)私の個人的な趣味はさておき、はっきり言えることは、彼らはみんな、自分の洋服を自信を持って着こなしきっている、ということ!

サプール』ってご存知ですか?彼らは『おしゃれで優雅な紳士協会』として、川向いのコンゴ共和国の首都、ブラザビルで始まったのですが、現在はコンゴ民主共和国にも多数存在しています。

このグループに所属する人たちはみんな、この上ないおしゃれをし街を闊歩し、どんな泥道でもランウェイにしてしまうのです。別に彼らは全員裕福なわけではなく、ほとんどの人たちは他のコンゴ人と同様、毎日たくさんの仕事をこなしながら一日一日を生き延びている人たちです。そんな状況の中サプールにいるためには、他のメンバーから洋服や小物の一部を借りてバラエティーを増やしたり、自分でネクタイを作ったり・・とにかくみんなすごくクリエイティブ!素敵な洋服探しのためには何の苦労も惜しまず、またやっとの思いで手に入れた洋服や小物たちはいつまでもケアし続ける。なぜならサプールの人たち曰く「人生には、自分たちではコントロールできず、選べないことがたくさんあります。でも、どんな人間か、は選べるのです。私たちは優雅でエレガントな人間なのです。」

 

「こんなのウワベだけだよ。ただの幻想で、そうやって自分をごまかしているだけ。」なんて思う人もいるのかもしれません。エレガントな服に身をまとって、裕福なフリをしてみたって、彼らが本当に生きている厳しい世界は変えられないんだし、逃げてることにしかならない・・なんて。

でも、私はウワベだけとは思わないし、逃避してるとも全く思いません。このグループにいることによって、優雅に振る舞うことによって、外側の現実(自分では変えられない、コントロールできない現実)と内側の現実(本当の自分)のバランスをとっている、という以外の何物でもないと思うのです。

 

私は、最初にニューヨークに引っ越してきた時、仕事が見つからずすごーく貧乏でした。ある日、一食用にスライスされたピザはすごく大きくて安いことを発見!残りのお金をセーブするべく、私はそのスライスピザを1枚買って3等分。これでおいしい朝昼晩ごはんのできあがり、なんてかなり喜んだのでした。

でも、ピザで満腹感は得られたものの、そのうち意味もなくなんだかちょっとアンハッピーな、気分のノラない日々が続いてきました。で、今度はフルートも、なんだか、私の好きじゃないアグレッシブな音に・・。しばらく何でなのか全く分かりませんでした。お金の節約法には満足していたし、正直ピザはおいしかったのです!

 

そしてある日、昔から母がよく言っていた言葉をふと思い出しました。

「お金がない時は、洋服代とか、電気代を節約するのよ。洋服はもういっぱいあるんだし、エアコンはなくても大丈夫だから。でも食事はケチっちゃダメよ。優雅な気持ちで食べるおいしいごはんは、内側から心をリッチにしてくれるからね。」

 

そう、私は、優雅でオイシイ食事のもたらすパワーを信じる母の元に育ったのです。私たちは決してお金持ちではなかったものの、いつもおいしい食事を食べさせてくれていました。

この言葉を思い出してから、もしかしたら最近の私のサエナイ気分は、お金のなさが原因ではなく、節約法が原因かな?と思い始めました。いくら節約法として理にかなっていたとはいえ、3ピースカットのスライスピザは、『優雅で美味しいごはんパワー』を信じて育った私を、内側からひもじくさせていたのです。

 

『ココロを裕福に』してくれる何かがあることはとてもいいことだと思います。高いものである必要はないし、その『何か』みんな違っていいんだと思います。ポイントは、その『何か』が私たちをインスパイアし、充実感・満足感と幸福感を与えてくれる、ということ。その、充実感・満足感・幸福感こそが、私たちをネガティブな思考や欲から解放してくれるのだから。

もちろん、時には内側から裕福にしてくれるものにありつけないこともあるかもしれません。これからもピザで生活をしのいだり、どんなに嫌でもハイキングシューズを履かなきゃいけない場面もあるでしょう。(笑)でも、個人的に私は、おしゃれをしよう、とか、美味しいごはんを食べよう、といったことが必ずしもウワベだけ、とはやっぱり思わないのです。

 

私の心を内側から裕福にするものは、おいしい食事。

サプールの人たちの心を内側から裕福にするものは、着こなしを優雅にすること。

キンバンギスト交響楽団の人たちの心を内側から裕福にするものは、音楽。

 

あなたの心を内側から裕福にするものはなんですか?(^^)

- Kaori