最終日 (Day 10)

もし、最終日にエマニュエルに出会わなかったら、帰国はもっと悲しいものになっていたと思います。彼は私たちを空港まで送り届けてくれた、イギリス大使館に勤めるコンゴ人ドライバーで、出国手続きから、飛行機までのシャトルバスに乗るまでずっと付き添ってくれました。

 

その日の午後初めて会った私たち、彼は空港までの道のり、私たちに旅の感想を聞いてくれました。どれだけ楽しかったか、ミュージシャンにどれだけ感動したか、どれだけ地元料理を堪能したか、それから、どれだけコンゴ人のセンスの良さに感動したか・・、そんなことをたくさん話しました。

とってもフレンドリーなエマニュエルは、「空港でもずっと一緒にいるから安心してね」と言ってくれました。また彼は私たちにもっと早く出会えなかったことを残念がってくれ、次回は一緒にディナーを食べてギターの弾き語りをしてくれる、と約束してくれました。

 

空港についての逸話をたくさん聞いていた私は、正直空港を少し恐れていました。キンシャサに到着したときは、運良く、何事もないどころか、ほとんど心地よいと言ってもいい程の経験だったのですが、帰りは一体どうなる?

空港の駐車場で、スーツケースを車から軽々出し、パスポートを預かってくれたエマニュエルと一緒にいざターミナル内に出陣。^^;

 

ターミナルに到着して分かったことは、なーんにも心配する必要はなかったということ。 エマニュエルは空港係員を全員といってもいい程知っていて、通りすがりにみんなと笑顔を交わしたり握手をしたり冗談を言い合って大笑いしたり・・おかげで誰もが私たちにもすごく親切にしてくれました。彼には、周りにいる人をハッピーにする何かがあるのです。ただ出国手続きをスムーズに済ませてくれるだけでなく、空港係員たちに私たちをじょうずに紹介してくれ、おかげでみんなフレンドリーに接してくれて、実際3人もの係員から、「かわいい君たち、いつでもまたキンシャサに戻って来てね。」なんて言われてしまったくらいだったのでした。(o^^o)

 

ンジリ空港はムズカシイ!なぜかというと、チェックインして搭乗券をもらったら、いったんターミナルを出て、空港税を払う。それが終わったら今度は空港内にあるオフィスで違う税金を払う。で、この両方のレシートは、飛行機に乗る直前に搭乗券と一緒にチェックされ、もしもなかったら、なんと搭乗拒否されるとのこと。(°_°) でもこんな、初心者にはすごーく分かりにくい手続きも、エマニュエルのおかげで、ストレスフリー!(^^) 係員たちは、長い列もさっと通してくれ、エマニュエルのツルの一声で、外交官用ラウンジにまで入れてしまいました!のんびりフレンドリーでいながら、どんな人でも言うことを聞かせてしまう彼は本当にあっぱれ!たくさんのステキな人に出会い、たくさんの人が両手を広げて受け入れてくれた・・こんな幸せな気持ちで旅が終了できたラッキーさをかみしめながら、キンシャサ旅行最後の瞬間を過ごしていました。

 

この旅で本当にたくさんのことを学びました。音楽について、コミュニケーションの意味について、信頼について。それから、コンゴ民主共和国についてと、キンシャサで作ったお友達たちが日々向き合わなければいけない問題についても学びました。

もちろん、『分からないことリスト』はまだまだ長く、このリストがからっぽになることもないでしょう。

 

教えることを楽しみに来たコンゴ、でも結局教わったのは私の方。音楽は、名声とか、嫉妬心とか敵対心というコトバからはかけ離れたところにあるものだということを身を持って体験し、競争でもなければ、上流階級のため、なんてことも全くない、ということも分かりました。

 

音楽は情熱と希望の元に成り立っていて、音楽コミュニティの一員になること、『ココロの内側からの裕福』が、どんなツライ時も、どれだけ私たちに充実感を与えてくれて、ヘンな欲から守ってくれるか・・そんなことも学びました。

 

こんなことを全て分からせてくれた音楽家たちに、音楽教師になるトレーニングを与えることは、ただ彼らに教育者としての経済的機会を与えるだけじゃなく、コミュニティ内の子供たちの輝く未来への投資だと、心から思うのです。もちろん、これから乗り越えなければいけないハードルがたくさんあるでしょう。でもだからこそ、このプロジェクトが更に意味のあるものになるのです。

 

『希望』を持つこと自体が難しいこの街だからこそ、ほんの少しの希望の光が、何より大きなインスピレーションの源になり得る。

 

このプログラムを通して、人生に少しの充実感と少しの『ココロの裕福』を数人にでも与えられること、これこそが、私たちの希望。で、今度はその人たちが同じように、次の世代の人たちを教えることができたなら、それは、世界に、『欲とは関係のない喜び』を、ほんの少しだけ広められたことになるのです。

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- Nana