孫生徒たち

今回新しく始めたワークショップの一つは、私が教える音楽家たちの生徒を教えること。

オーケストラ練習場には、楽器を習いに来る子供たちがたくさんいます。彼らはみんなキンバンギスト響のメンバーたちが教えていて、子供たちは彼らをアイドルのように思っています。普通の学校には通えない子供たちが多いため、みんな練習場で、数少ない楽器と教材を使いながら、朝から晩まで集まって練習しています。私が朝練習場に着いて見る最初の光景は、一生懸命練習している子供たちの姿でした。

ワークショップ5日目、キンバンギスト響のメンバー数人から、彼らの生徒の演奏を少しだけ聴いてアドバイスをしてくれないか、と頼まれました。喜んで引き受けると、彼らはすぐに生徒たちを呼び寄せ、あっという間に20人あまりの生徒たちが古ぼけた楽器と譜面台を持ってやってきました。年齢層は12才から24才。私が持ってきたオーケストラメンバーと同じ基礎練習教材を使い、ワークショップ開始。(この基礎練習教材のいいところは、譜面上シンプルなため、初心者からプロまで、ほぼ同じコンセプトで使えることなのです。)教え始めて間もなく気付いたことは、この子供たちも大人と同じだけの集中力を持っているということ。ここニューヨークで子供を教えると、5分以上はどう頑張っても集中力が続かない(苦笑)なんてことがしょっちゅうあるのですが、この子たちはすごい!教わりたい気持ちと情熱がひしひしと伝わってくるのです。

この現実にインスパイアされた私は、子供たちをキープしたまま、オーケストラメンバーである私の直接の生徒さんたちをアシスタントとして参加させてみることにしました。私が全体を教える間、彼らは生徒の周りを行ったり来たりしながら、姿勢を直したり、音を直したり・・。それから今度は、メンバー数人を交代で私の代わりに全体の先生とし、残りのメンバーたちと私が、教え方の観察をし、あとでディスカッションをする・・。結果、みんなが多くのことを学べました!孫生徒たちは新しい練習方法を学び、私が教える音楽家たちは、新しい教え方を学び、私は全員をもっと知ることができました。「私たちの生徒を少しだけ教えて欲しい」というシンプルな提案から始まったこのワークショップ、次回からも続けていこうと決心したのでした。

キンバンギスト響のメンバーたちの集中力と情熱はよくわかっていた私。でも彼らの生徒たちも同じだけの集中力と情熱を持って音楽に接しているということには驚かされました。これは、オーケストラメンバーたちが子供たちに与えているトレーニングのおかげ。普通の学校には通えないかもしれない。でも音楽を通して、一生懸命勉強することの大切さ、何かに集中することの大切さ、ありがたいと思う気持ち、それから何かを達成するという感覚を学んでいる子供たち。そんな大切なことを、子供たちにきちんと教えられる先生としての大きな役割を果たしているキンバンギスト響のメンバーたち。そんな彼らを真近で見ながら、「彼らがメンターとして、それからコミュニティのリーダーとしてさらに開花するように、私が教えられるだけのことはすべて、全身全霊でシェアしていこう。」と固く心に決めたのでした。

現在、楽器を習いたい子供たちはもっともっといるものの、楽器の少なさから、新しい生徒を受け入れられないのがこのオーケストラコミュニティの抱える1つの問題。Music Beyondはこの問題にも、さらなる楽器の寄付などを通して立ち向かい、このオーケストラがもたらす音楽を通してのポジティブな影響を、さらに多くの子供たちに与えられるよう、一歩一歩前進していきたいと思っています。みなさまからの引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします!

- Kaori

救世主現る!

キンシャサでのワークショップは時間も長くかなりの集中力を要します。音作りについて、テクニックについて、音色について、表現力について、それから曲ごとの解釈について・・。自然と『話す』時間もたくさん。でもこの『話す』というのが一番の難点。何せ私のフランス語とリンガラ語 (キンシャサで一番話される言語) はかなり貧しく、彼らの英語もあまりままなりません。幸運なことにこれまで、何人か、英語をそれなりに上手に話す人たち (私のフランス語・リンガラ語に比べたら1000倍上手) が助けてくれてはいたものの、彼らが上達し、ワークショップの中身が複雑に濃くなるにつれ、コトバの壁も厚くなってきてきていました。

 

3日目、ワークショップを終え、オーケストラリハーサルを終え、指揮者のアルマンさんにご挨拶をして、さすがに10時間は疲れるな、なんて思いながら、ドライバーを探すべく門に向かっていた私。そこに突然・・

 「こんばんは!ドライバーに安全に会えるようにお見送りします。」と朗らかな声。それもなんと・・、英語!きれいな、流暢な、パーフェクトな英語!!

ボウゼンと振り向き、「ありがとう!・・・でも・・・あなたは一体どこから現れたの???」と、失礼で意味不明な質問をした私に、その男性は笑顔で自己紹介をしてくれました。(今だに、「Kaoriのあのボウゼンとした表情が忘れられないよ!」と笑われています *^^*)

彼の名前は、ヤン・フォロ。昔キンバンギスト響でバイオリンを弾いていて、その後10年間南アフリカに住んで (南アフリカの公用語は英語)、4ヶ月前にキンシャサに戻り、オーケストラのメディア・プロモーションのお手伝いをしているとのこと。

「やったぁ!ってことは、もしかしてもしかして通訳として助けてくれるかも!」なんて心の中で密かに期待を膨らませながら、その日はおしまい。

 

翌日、アルマンさんと連絡を取りヤンの連絡先を聞いた私は、早速電話をして、事情を説明し、もしも時間があったら1日でも2日でもワークショップに来てくれないか、と聞いてみました。「自分のデザイン事務所で働いているので、時間の都合をつけて、喜んでお手伝いしますよ。」と優しい答え。やったあ、やったぁ、やったぁ!*\(^o^)/*

 

彼は本当に、翌日から最終日まで毎日来てくれました。彼の通訳は、ワークショップを瞬時に、100万倍効果的なものにしました!英語、フランス語とリンガラ語全てがパーフェクトなだけでなく、スピード感や、その場の雰囲気と個人個人のキャラクターを感じ取り、それらにそった通訳をする、というまさに芸術技。おまけにすでにコミュニティの一員であるからこそ、ミュージシャンたちも心地よく通訳してもらえる。おかげで、簡素化しないでディスカッションが行え、今までできなかった深い説明ができ、安心して質問が飛び交い、ジョークにみんなで一緒に笑う・・。彼のセンスの良い通訳がワークショップをとってもエネルギッシュなものにしました。

 

今回の旅で、ミュージシャンたちとの距離が縮まり、彼らが今までよりも更にさらに上達したのですが、それは救世主ヤンの多大なる貢献があってこそのこと!

あ、それから、今回のたくさんの写真たちも全部彼がとってくれました!カメラを片手に通訳をし、みんなの表情がいい瞬間にパチリ。うーん、すごい才能だ!

 

ヤン、本当にありがとう!、あんなに多くのことが教えられ共有できたのは、ヤンのおかげ!親切で寛大な心と才能には感謝してもしきれません!

これにこりず、また次回もよろしくね。(^^)

- Kaori

日本大使公邸にて。大使館でも、「プロの通訳の方ですか?」とびっくりされていました!

日本大使公邸にて。大使館でも、「プロの通訳の方ですか?」とびっくりされていました!


オーケストラコンサート

木曜日にコンサートをすることになっていたキンバンギスト交響楽団。火曜日の午後に、2番オーボエをフルートで吹いてくれないか、と聞かれた私は喜んでOKしました!

水曜日、7時間のワークショップのあと、前日リハーサルに参加。今までオーケストラリハーサル会場として借りていた大きな倉庫が使えなくなってしまったため、現在は駐車場で練習するしかないんだ、と申し訳なさそうに話してくれたオーケストラ設立者であり指揮者のアルマンさん。気温も高く、電気はついたり消えたりを繰り返し、また1万匹くらいの蚊が飛びまわる中でのリハーサル。でも誰一人として文句を言う人はいません。それどころか、みんなその場に身を置いて、団員の一人として音楽を奏でることに喜びと誇りを持っているようでした。電気が切れると、誰かが懐中電灯でみんなの楽譜を照らし、電気がつくとまた演奏に戻る。で、また電気が消えると今度は他の誰かが懐中電灯でみんなの楽譜を照らす・・こんな繰り返しでした。

リハーサルに参加してみて、情熱と愛さえあれば、どんな環境だって音楽はできるんだなぁ、としみじみ思いました。(そして、蚊もいなく、電気もバッチリつく心地よいニューヨークのアパートで練習できるのにも関わらず、エアコンの効きが悪いことに文句言ったりするのはやめよう!と静かに心に誓ったのでした。)

2時間以上続くリハーサル、私は蚊の大群に襲われていました。毎朝蚊よけクリームを塗りたくっていた私、でも夜にはその効果は消えていたようです。「かゆいかゆい」ともそもそしていて、ふと気付きました。。

どうしてだれもかゆそうじゃないの?????

みんな平然としているのです!どうしても気になって、近くのファゴット奏者に聞きました、「ねぇ、あなたたちは蚊に刺されないの??」これにみんな大笑い。もう慣れっこで、なんと何も感じないんだそうです。この情報にはビックリでした!痒そうにしている私を見て笑い続けるメンバーたち。「気持ちを落ち着けるんだ、そうしたら痒みもなくなるよ。」なんて助言してくれるものの、『気持ちを落ち着ける』なんてどうがんばってもムリ。笑 今度からは長時間出歩く時は、忘れずに蚊よけクリームを持参しよう、と誓ったのでした。

翌日のコンサートは大成功!1000人近い聴衆が、大盛り上がりに盛り上がってくれ、まるでロックのコンサートのようでした!このオーケストラの存在がコンゴ人たちにも知られ、クラシック音楽が一般人の中でも少ーしずつ浸透していることを目の当たりにできて嬉しくなりました。

オーケストラの一員としてこのコンサートに参加できて幸せなひと時でした。キンバンギスト交響楽団のみんな、ありがとう、そして、素晴らしいコンサートおめでとう!

- Kaori


Kinshasa on My Mind 〜 我が心のキンシャサ :)

6月21日午後9時、24時間の飛行機の旅の後、3度目のコンゴ民主共和国に到着しました。街中の人々を知っているんじゃないかと思うほどみんなとお友達のスーパードライバー、エマニュエルが手荷物受取所でお出迎え。おかげで今回も何のトラブルもなく無事にスーツケースを受け取り、空港から車で夜のキンシャサへ出発。こうして、今回のノンストップで多忙な、でも何よりもやりがいのある充実した2週間が始まりました。

 

翌朝より早速レッスンを開始し、体を壊すことも、セキュリティーアドバイザーから外出禁止令が出ることもなく(この街ではよくあり得ることなのです)、11日間のワークショップで80時間以上、キンシャサの音楽家たちをお教えすることができました。前回12月に訪れた時よりもはるかに上達していた彼ら。6ヶ月間、本当に真剣に練習し続けていたことが一目(一聴?)瞭然で、感慨深い気持ちになりました。

今回もまた、体を理解し使った音作りや技術などの基礎をお教えし、それぞれの作曲家や曲にあったキャラクターの見つけ方など、一歩踏み入った楽譜の読み方についても話しました。これら全ては、彼らがさらに自由に、フレキシブルに音楽作りをする手助けとなり、また教えるためのお道具箱の道具になると信じています。

彼らはすでに経験豊かな音楽家であり先生たちで、音楽に対する愛と情熱は人百倍持っています。そんな彼らにただ一つ必要なのは、今まで誰からも教わる機会のなかったきちんとした基礎技術のみ。真剣で献身的で、精神的にも肉体的にも強く、集中力が何時間でも続く・・そんな彼らをお教えできることは、心から幸せなことです!

 

また、今回はみんなが私を家族にように慕ってくれたことにもとても感謝しています!今回出会った、それはそれは素晴らしい通訳(この彼についてはまた次回)のおかげで、音楽的にも個人的にもお互いをもっと知り、分かりあうことができ、それはワークショップをさらに深いものにし、また何倍も楽しいものにしました。

 

今回の旅はいろんな面で大きなステップとなりました。キンバンギスト交響楽団とMusic Beyondは正式にコラボレーションをすることとなり、これから数年、オーケストラの木管楽器奏者を音楽家として、先生として育てるお手伝いをすることになりました。今回は前回までよりもさらに全員格段に上達し、全員とさらに仲良くなれました。

そしてなんと、自分でも驚くことに、このミステリアスでへんてこなキンシャサという街に、あったかい『アットホーム』な気持ちさえも芽生えてきました。こんな気持ちになれたのは、キンシャサの素晴らしい音楽家たちと暖かいお友達がいてこそのこと。アルマン・ディアンゲンダさん、セス、サミー、ナタリー、ギー、ギリー、ジョセフィーヌ、ディエゴ、ジャック、ジニョール、ドブレ、ジョゼ、ジョニー、ジェリー、オノレ、ヤン、エディー、エマニュエル、ジュリオ、貴美子さん、和也さん&日本大使館の皆様、トム、リズ、イアン、ケビン、マリリン、それから両手を広げて受け入れてくれたたくさんの人たち・・・本当にありがとう!

 

- Kaori


ただいま!

キンシャサより無事に帰国しました!前回も参加したメンバー全員に加え、彼らが教える生徒たちともワークショップを行い、全員のたった2週間での上達ぶりには本当に目を見張りました!

細かいご報告はまた近日中にさせて頂きますが、今は取り急ぎ・・、キンシャサの音楽家たちとお友だちたち、それから、このプロジェクトを応援して下さっている世界中の皆さまへ心から、 "Botondi mingi" (本当にありがとう) !

- Kaori

image.jpg
image.jpg